コラムVol.67『精進料理』
心と体を整える「精進料理」の世界 ~仏教の知恵をいただく~
ゴールデンウィークに訪れたお寺で、「精進料理(しょうじんりょうり)」をいただきました。見た目の美しさ、味の繊細さ、そして心が落ち着く不思議な満足感、これは単なる食事ではなく、まさに“体験”だと感じました。
精進料理とは、仏教の教えに基づいた「肉や魚などを使わない菜食料理」のことです。
仏教では「殺生をしない」という教えがあり、動物性の食材を避けます。また、「五葷(ごくん)」と呼ばれる、にんにくやネギなど、匂いが強く心を乱すとされる野菜も使いません。
一見制限が多いように感じますが、その中で工夫を凝らし、素材の持ち味を最大限に引き出す。これこそが、精進料理の真髄です。
素材と味の美学
出汁は、昆布と干し椎茸だけ。なのに、驚くほど奥深い味わいがあります。ゴマ豆腐や高野豆腐、旬の野菜や湯葉の刺身などを使い、派手な調味料や油を使わないからこそ、食材そのものの味や香りに自然と意識が向きます。まさに“食べる瞑想”です。
精進料理は心のごちそう
食事とは本来、命をいただく神聖な行為。精進料理を味わうとは、そのことを思い出させてくれます。
静かなお寺の空間で、無駄のない一皿一皿に向き合っていると、自然と呼吸が整い、気持ちも落ち着いてきます。不思議と「満たされた」気持ちになる。
これは、ただのベジタリアン料理とは違う、“心の料理”なのだと思いました。
精進料理は、ただ「食べる」ための料理ではなく、「生きる姿勢」を教えてくれる料理だと感じました。
心と体に、静かな贅沢と心の瞑想体験は現代だからこそ必要なものかと感じます。
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料理を通じ人を幸せにすることが出来るのもお寺だからこそ出来ることなのではないでしょうか。