コラムVol.46「法灯」
先日、相談のご連絡を受け地方寺院へ
お話しをお伺いに参りました。
後継者がいない事で真剣にお悩みであり、
高齢のご住職と奥様お二人でお話し頂きました。
最初は表情も硬かったご住職も
時間が経つにつれ少しずつお寺の事を
お話しくださいました。
ご自身は幼いころ弟子入りし、
当時は沢山の弟子や近隣寺院からの
客僧など何人も僧侶のいる
賑やかなお寺であった。
ある日、末弟子ながら先代に
法灯を継ぐ後継者に抜擢され、
その重圧で寝れない夜があったこと。
お寺の事だけを一心に思い、
これまで取り組んできた事、
苦労した事などゆっくりと
お話しくださいました。
和かな表情が真剣な顔に変わった時です。
「でもね。このままだと私の代でこれまで繋げてきた法灯も終わりかもしれません。
住職としてこれほど恥ずかしく情けないことはありません。
私は27代目です。
先師達は戦乱や飢饉、様々な事を乗り越え、食べる物も食べず、着る物も着ず、この法灯を絶やすことなく大切に繋いできました。
私はダメですね。
もっと早く問題と向き合い、手を打つべきだったのかもしれません。」
肺腑を抉るような痛切な叫びでした。
私たちサンガは人によって
繋いできた伝統や文化、
想いも含めてしっかりと後の代へ
継承していく責任があると感じ、
日々業務にあたっております。
必ず解決策はあるはずです。
決して『お気軽に』
と言える問題ではございません。
しかしお一人でお悩みにならず、
共に真剣に考える機会を頂戴できたなら、
お力になれる事もあろうかと存じます。
これまで大切に灯し繋いできた法灯が
一つでも多く後世に繋がっていくよう
責任を持ち取り組んでまいります。